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「口から火を吹ける」

 ボソッと言い出したのは十文字。

「目からレーザー光線!!」

 ソレに乗ったのは黒木。

「尖がったシッポがあっても可笑しくねェよな」

 読んでいるマンガからは目を放さず戸叶がいい、

「いっそ召喚プログラムくらい自作できそうですよね」

 おずおずと、苦笑いしながらも実はかなり失礼なことを言う雪光。

「むしろソレそのものじゃん」

 ニヤニヤと笑いながら雷門も後押しをする。

「いえてるー!」

 ケラケラと笑って、全肯定する。続けて一言。

「エクソシスト呼ばなきゃ!」
「腕利きじゃねェと絶対返り討ちにされるぜ〜」

 首がグルっと〜などとおどけた調子で言う雷門に、の笑いがエスカレートする。
 腹を抱え、その瞳に薄らと涙まで浮かべ、ソレはもう大爆笑モードだ。

「……あ、あの」
「ん? 何、かな、セナ君?」

 恐る恐るとに話し掛けてきたのは、唯一その場にいたもので会話に乗ってこなかったセナ。
 息を切らし方を震わせ、笑いに歪んだ顔を彼へと向ければ、同じく彼の表情も奇妙に引き攣っていた。
 訝しげに思ったがそれを追求するよりも先にセナの口が動いた。

「――ご本人、居ます」
「…………へっ?」

 その台詞に、物凄い素早さで達の首が一斉に回転する。ちょっと人間の限界に挑戦するくらいの急回転だ。
 彼女等の視線の先には、見慣れた悪魔様が仁王立ちをなさっていた。
 そのまま暫し見詰め合う。周囲の誰もが声を発しない。奇怪な沈黙が部室を支配した。

「……テメェら、何からバラされたいか?」

 ピクリとも動かない表情と共に、ヒル魔の口から音が漏れる。
 静かなその通告に、いっそ銃を乱射しつつ暴れられた方がマシだ!と、その場にいた誰もが心で叫んだ。

 その後、全員揃って――なぜか無実のはずのセナも巻き込みつつ――平謝ったのはまた別の話。どっとはらい。

END


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