064:洗濯物日和
ポカポカと、新パプワ島は今日もいい天気。
どこぞの家政夫は洗濯に精を出し、ちみっ子達は所狭しと駆け回る。
偶然通りかかった浜辺の木陰に、一つの落し物。
Q.何故こんなところに人が落ちているのでしょう?
A.皆目見当もつきません。
辺りを見渡してみても、彼女といつも一緒にいるちみっ子は影も形もない。
大方ここで昼寝でもしていて、おいていかれてしまったのだろう。
気持ち良さそうに寝息を立てる彼女の名は――と言ったか。
確かに今日は昼寝をするには丁度良い日和ではある。
「……」
とりあえず、頬をつついてみる。
つきたての餅の様な感触が心地良いが…起きる気配はない。
今度は両頬を引っ張ってみる。予想以上に良く伸びるが、それでも起きない。
ちょっとやそっとじゃ目覚める様子の無いに、Gは途方にくれた。
今は日も高いし、このまま放っておいても支障はないだろうが…
ここで、ふと彼女を自分以外が見つけていたらと思いをめぐらしてみる。
同僚と上司に見つかった場合。
下手すればそのままテイクアウト。危険この上ない。
心戦組御一行。
…自分の仲間達よりはマシだが、それでもこの無防備な彼女を見せるのは躊躇われる。
ガンマ団刺客集。
流石に人質にとるとか言うことはないだろうが…アラシヤマ辺りが発見したら大変なことになりそうだ。
ちみっ子ズ。
この辺が一番安心といえばそうだろう。というか、忘れておいていかないで欲しい。
そこまで考えた後、一つ嘆息するとGはを優しく横に抱き上げた。
「あー、Gとじゃん!」
「珍しい組み合わせだな」
「…かもしれん」
パプワハウス前まで来ると、ちみっ子達の大きな声がG達を迎えた。
「お前ら、まーた放り出して遊んでやがったな?!」
「だってー、ってばすぐにお昼寝しちゃうんだもん」
「はっはっは、スマンな」
「わーう」
「…ったく。ほれ、も起きた起きた」
いまだGに横抱きにされたままのの頬を、リキッドはペチペチと叩いた。
は小さく声を上げながらも、ゆっくりと瞼を開けてとろんとした瞳のまま視線を彷徨わせる。
「…起きたか」
「ふえ… あ、Gさんおはよーです」
「自分の置かれた状況を疑問におもわねーのか、」
「ええっと… おや、随分とステキな状況で」
ズレた反応を見せるに、思わず大袈裟にコケるリキッド。
完全に覚醒したことを確認すると、Gはゆっくりと彼女を地面に降ろした。
「…これからは、気をつけることだ」
「そうだぜー、日射病とかになったらどうすんだよ」
「はぁい。Gさん、ありがとうございました」
「…いや」
ぺこりと頭を垂れるに、Gは小さく微笑んで返した。
その様を目撃したリキッドが驚きに目を見開いている。
「そうだ、Gさんも一緒に夕飯いかがです?」
「それボクもさんせー! Gだったら、あの親父軍団の中でもマシな方だしね」
「食事は多いほうが楽しいからな」
「ま、一人くらいはかまわねェけどな。を届けてくれた礼にどうだ?」
「じゃぁ決定ってことで!」
「……」
G本人の意思が示されるより早く、達は一方的に決め付けて家の中に入ってゆく。
まぁ返事は了承であるのには違いないので、別に構わないといえばそうなのだが。
「ほらほらGさん、早くきてくださいよ」
「…ああ」
満面の笑みを浮かべるに、Gは思わず微苦笑する。
遅く帰った理由を隊長達に問い詰められそうな気はするが、今は敢えてその考えをしないことにした。
洗濯物日和かつ、昼寝日和に見つけた落し物。届けて少しばかりの幸福感――
END
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